第十五章

ニコル

食料品店に向かう途中、ジェイピーが窓の外を眺めているのが見えた。まるで白昼夢でも見ているみたい。「何を考えてるの?」

「ただ、あの女性たちのことを考えてたんだ、ニコル。世の中には毎日ドメスティック・バイオレンスに苦しんでいる人が大勢いる。そのほとんどが助けを求めようとしないなんて」

「ええ、悲しいことよね」

「聞いてもいいかな、君は状況が最悪だったとき、どうしてシェルターに行かなかったんだい?」

ニコラスに聞かれたのと同じ質問だ。「プライドよ、ジェイピー。それに、私は暴力的な夫や恋人から逃げていたわけじゃなかった。そういう場所にいる自分が想像できなかったの。今でもそう思ってしまうのは...

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