第174章

ニコル

ニコラスの様子がおかしいのは見て取れた。でも、彼はそのことについて話したがらなかったし、私に無理強いすることもできない。だから、その晩はただ流れに身を任せることにした。彼がスコッチを飲んでいる間に、私は自分にお茶を淹れに立った。二人して暖炉のそばに腰を下ろす。ニコラスは炎をじっと見つめていた。こんなことをすべきじゃないとわかっていたけれど、彼がこんな風にしているのを見るのは耐えられない。私は立ち上がると、彼の膝の上に乗った。「それで?」彼は少し驚いたように尋ねた。「ただ、あなたのそばにいたいの」。彼は何も言わず、ただ私をぐっと引き寄せた。そして、話し始めた。よかった、神様。「アントン...

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