第二十三章

ルーサー

アントンとカレンとの一件を終えたとき、俺は汚された気分だった。彼らのそばにいるだけで自分が汚れていくような気がしたのだ。馬鹿げているだろうか? まったくだ。だが、それが俺の正直な気持ちだった。俺は自分のメルセデスに戻ると、購入した二つのギフトバッグの荷造りを始めた。まだ面会時間が終わるまでには病院に着ける時間がある。バッグの準備を終えると病院へ車を走らせたが、その道中、何度か自分が微笑んでいることに気づいた。会ったばかりの相手に、どうしてこんな気持ちになれるんだ? そんな考えが頭の中を駆け巡っていたが、それでもどうでもよかった。どういうわけか、自分の感情に疑問を抱きたくなかったし、...

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