第二十七章

ニコル

ニコラスが電話を切るなり、私は彼に尋ねた。「何があったの?」

「アントンが病院に行ったんだ」

「まさか、彼女に会ってないって言って」

「いや、俺が電話した直後にルーサーが行ってくれた。アントンが産科病棟に着く前に、彼女とニコリーンを連れ出してくれたんだ」

「ああ、よかった……」

「二人は今どこに?」

「ルーサーのところだ。JPも一緒だよ」

「ああ、よかった」

ジェフリーが方向転換し、私たちはルーサーの家へと向かった。彼もまたセキュリティが厳重なマンションに住んでおり、アントンが保釈中であることを考えれば、それは好都合だった。ドアマンのところに着くと、エレベーターに乗る前に、まずルーサ...

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