チャプター 26

ニコラス

携帯を見ると、ニコルからの着信だった。彼女が俺から奪っていったものすべてを思い出し、内心では怒りで腸が煮えくり返るようだった。俺は意地悪く言った。「やあ、ニコル。まさかお前から電話がかかってくるとは思わなかったよ。人生で二度とないと思っていた。特に、この十二年間ずっと使ってた番号にね」

「こんにちは、ニコラス」彼女はそれ以上何も言わなかった。どうやら、挑発には乗ってこないらしい。

「ニッキーは?」

「ええ、大丈夫よ。ご飯を食べて、少し休ませたところ。だから電話に出るのが遅くなったの」

「そうか。ニコラス、あなたにお願いする権利なんてないのはわかってる。でも、それでもお願いがあるの」...

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