第258章

ニコラス

「今、彼女に電話すべきだと思うか?」

「いや、家に着くまで放っておこう。どうせ電話したところで耳元でワーワー喚くだけだし、家に着いたら着いたでまた同じことになる」

「もし何かあったらどうする?」俺の想像力はあらぬ方向へと暴走し始めた。

「何かあったなら、イザベラが電話してくるんじゃない?」「もちろん、そうするだろうな」「だったら、深刻なことは何もないってことだ。心配するのはやめろ」

どうしてニコルがこんなに落ち着いていられるのか、俺には理解できなかった。なんたって、不在着信が大量に入っていたんだ。だが、落ち着いて考えてみれば、イザベラならきっと電話をくれるはずだし、もし俺に繋がらな...

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