第二十七章

ニコル

ハーマンがブライダルストアの前で車を完全に停める前に、ニッキーはドアを開けた。「もう、ニッキー。ハーマンが停めるまで待ちなさい」「だって、わくわくしてるんだもん」「私もよ。でも、動いてる車から飛び降りたりはしないわ」「ママ、お願いだから。車はもう停まってたわ」あら、こんな調子で始まるのね。最高だわ。

店に入ると、アシスタントが一人、私たちのもとへやって来た。「こんにちは。何かお探しでしょうか?」「ええ、母がウェディングドレスを探しに来たんです」ニッキーはほとんどじっとしていられないといった様子で言った。「すみません、この子ったら、ただ興奮しちゃって。ニコル・グリーンです。予約してい...

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