チャプター 43

ニコラ

「今夜一晩、あなたのものよ」と言った彼女の言葉を、俺が本気にしないとでも思ったのだろうか。その理由は分からない。与えられた時間は一瞬たりとも無駄にするつもりはない。明日はもうすぐそこまで来ている。そうすればまた、現実と向き合わなければならなくなるのだ。話したいわけじゃない。彼女の瞳を見つめたいわけでもない。ただ、彼女を抱きたかった。彼女の中で、我を忘れたかった。

彼女が自室に逃げ帰る気がないのを確かめると、俺はバスルームへ行ってコンドームを処分した。部屋に戻ると、ニコルは気を失ったように眠りこけていた。どうする? 起こすべきか、それともこのまま寝かせておくべきか。俺たち全員にとって...

ログインして続きを読む