チャプター 53

ニコル

ニコラスが書斎へ向かった後、私はニッキーの部屋へ行った。話をしてくれるか確かめたかったのだ。ドアをノックしたが、「あっち行って」という声が返ってきただけだった。「ニッキー、お願いだから話しましょう」「今は話したくない」「じゃあ、明日は?」「仕事でしょ」「ええ」「わかった、仕事の後なら。たぶんね」

彼女の部屋を後にして、寝る前に紅茶でも一杯飲もうとキッチンへ向かった。床から天井まである窓の前に立っていると、ドアの開く音が聞こえた。窓の反射に、バックパックを背負ってこっそり部屋から抜け出そうとするニッキーの姿が映っていた。一体、何をしようっていうのよ。

私は彼女が何をするのか見守るこ...

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