第6章

 健一の取り調べが終わった後、松本と涼は廊下に残っていた。

 涼は壁に寄りかかり、健一が弁護士を要求したあの瞬間を脳内で再生していた。あの目には恐怖などなく、あるのは冷酷な計算だけだった。

 松本は煙草に火をつけた。彼の無線機がノイズを立てた。

「静子の方はどうなってる?」彼は尋ねた。

 ノイズが走り、やがて女性警察官の声が不安げな響きを帯びて聞こえてきた。

「自供しました」少し間を置き、さらに小さな声で続けた。

「すべて」

 松本と涼は急いで別の取調室へと向かった。

 マジックミラー越しに見ると、静子はテーブルの上に突っ伏し、肩を震わせながら、両手で濡れたティッシュの束を握...

ログインして続きを読む