第7章

 翌朝九時、松本と涼は再び楓通りに戻ってきた。今回はサイレンも鳴らさず、赤色灯も回していない。ごくありふれた署のセダンが、二丁目十七番地の向かいに停まっているだけだった。

 最初にドアを叩いたのは、昨日も話を聞いた銀髪の女の家だった。今回は花柄のエプロンを身につけており、その顔に浮かぶ愛想笑いは昨日よりもこわばっていた。

「刑事さん? 何かあったんですか?」

「谷村さん」松本は帽子を取りながら言った。

「高橋さん一家について、もう少しお聞きしたいことがありましてね」

 真理子の笑顔が凍りついた。見えない汚れを拭き取るかのように、エプロンを握る指先がもじもじと動いている。

「昨日も...

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