第5章

三日後、閉店時間になって良太が現れた。ノートを小脇に抱え、料理学校で見た覚えのある、真剣で、学ぶ準備ができたという表情を浮かべていた。

「本当に来たんだ」と私は言い、裏口から彼を中に招き入れた。

「来ないと思った?」

「正直に言うと……うん」私は彼の後ろでドアに鍵をかける。「ほとんどの人は、これがどれだけ大変か分かった途端、興味を失うから」

「俺は『ほとんどの人』じゃない」

そう、彼は違う。それが問題なのだ。

この三日間、ずっとこれは悪い考えだと自分に言い聞かせてきた。私の技術を彼に教えるなんて、面倒事を招くだけだと。でも昨日、津崎春花にどうして台所を隅々まで大掃除したのか...

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