第7章

三日後、私はまたフードフェスティバルに来ていた。けれど、どこか身が入らない。

ブースの設営は先週末とまったく同じ。明るい黄色のテーブルクロスも、丁寧に並べられたアレルギー対応のパンのディスプレイも。なのに、すべてが空虚に感じられた。

「本当に大丈夫?」今朝だけで三度目になるその質問を、津崎春花が投げかけてくる。「眠れてないみたいな顔してるよ」

「平気だよ」並べ直す必要もないクッキーをいじりながら私は答える。「ちょっと疲れてるだけ」

彼女は信じていないようだったが、それ以上は何も言ってこなかった。

今日の祭りは先週より混雑している。先週末に来た家族連れが友人を連れて戻ってきて...

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