第4章

個室は突如として静まり返った。

皆川霜介がグラスを叩きつけ、その手の甲から滴り落ちた血が、古風な木製のテーブルの上で小さな暗赤色の染みを作った。

誰も口を開こうとせず、空気すら凝固したかのような重苦しい雰囲気に包まれる。

十数秒後、軽快なLINEの通知音が沈黙を破った。

河合大輔はスマホに目を落とし、微妙な表情で顔を上げた。

「夕からのメッセージだ」

彼はためらいがちに皆川霜介に視線を送る。

「傷、ひどくないかって」

皆川霜介はフンと鼻を鳴らし、スマホを受け取ろうとする素振りも見せない。

「代わりに返信しようか?」

河合大輔が探るように尋ねた。

皆川霜...

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