プロポーズの日、彼が「とっくに飽きた」と話しているのを聞いてしまった

プロポーズの日、彼が「とっくに飽きた」と話しているのを聞いてしまった

渡り雨 · 完結 · 18.9k 文字

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紹介

皆川霜介と七年も一緒にいたのに、「飽きた」の一言で、彼はもっと若くて可愛い子に乗り換えた。

今回、私は騒がなかった。指輪を捨て、ウェディングドレスのデザイン画を破り捨てた。

そして深夜の便で東京を離れた。

彼の友人たちは、私がいつ頭を下げて戻ってくるか賭けをしていた。

皆川霜介は冷ややかに笑った。

「三日もたないさ。また泣きながら戻ってきて、俺に縋り付く」

しかし、三日が過ぎ、また三日が過ぎても、私からの連絡は一切なかった。

ついに皆川霜介は居ても立ってもいられなくなり、初めて自分から私に電話をかけてきた。

「夕、もう意地を張るのはやめて、帰ってこい……」

電話の向こうから、別の男の低い笑い声が聞こえた。

「皆川さん、女の子を拗ねさせたら、その日のうちに機嫌を取らないと。さもないと、横からかっさらわれますよ」

皆川霜介は目を真っ赤にして、歯を食いしばった。

「月詠夕を出せ!」

朝霧蓮は、私の髪にそっとキスを落として囁いた。

「申し訳ないが、彼女は今ぐっすり眠っているんだ。俺がようやく寝かしつけたところなので」

チャプター 1

 皆川霜介と付き合って七年目、私はパーティーで彼にプロポーズしようと、指輪を買った。

 しかし、道が少し渋滞していて、パーティーに着いたのは少し遅れてしまった。

 個室の中から、彼と友人たちの話し声が聞こえる。ドアを開けようとした、その時だった。霜介の声が耳に届いたのは。

「月咏夕か。とっくに飽きてる」

 その声は平坦で冷淡。まるで、どうでもいい人か物について語っているかのようだった。

 誰かが突然すべての音を消し去り、耳元で血が流れる音だけが轟いているかのようだ。胸の奥から鋭い痛みが広がり、私は一瞬動きを止めた。ドアノブにかけた手は、そのまま固まって降ろせない。

「七年だぞ。お前なら飽きないか?」

 霜介は続けた。

 七年。人生に、一体いくつの七年があるというのだろう。

「月咏さんってすごく美人だし、もし構わないなら俺がアタックしてもいい?」

 と、男の声が尋ねた。

「好きにしろ」

 霜介は気のない返事をする。

 胃がきりきりと痛み、まるで誰かに強く掴まれたかのようだ。

 私は何? 使い古されて、好き勝手に譲渡できる物なの?

「霜介が遊び飽きた女を拾うのかよ」

 またもや、嘲るような笑い声が響いた。

 屈辱感が、海水のように私を飲み込んでいく。

 唇を噛み締め、血の味がするまでそうして、ようやく冷静さを取り戻した。

 私は数歩下がり、携帯を取り出してメッセージを打つ。文字を打つ指先が、微かに震えていた。

「頭が痛いから、先に帰るね」

 霜介からの返信は早かった。

「わかった」

 ただそれだけ。気遣う言葉の一つもない。七年の感情が、こんな冷淡さと引き換えだというの?

 個室内ではすぐに、私が頭痛で帰ったことが知れ渡ったらしい。誰かが尋ねた。「月咏のこと、心配しなくていいのか? 七年も一緒だったんだろ」

「何を心配するんだ?」

 霜介の声には、苛立ちが滲んでいた。

「本当に具合が悪けりゃ、病院に行くだろ。月咏夕はああいう奴なんだよ。いつも大袈裟に騒ぐのが好きなんだ」

 個室から、気まずそうな笑い声がいくつか漏れてきた。

「でもな」

 霜介は続ける。その声には、聞くに堪えない自信が満ちていた。

「あいつは俺から離れられない。お前ら、あいつがどれだけ俺に依存してるか知ってるか? 一度俺が三日出張した時なんか、毎晩ビデオ通話しなきゃ気が済まなかったんだぜ」

 また笑い声が起きた。今度はもっと遠慮がない。

 私は拳を握りしめる。爪が肉に食い込んで痛んだが、その痛みこそが私の理性を呼び覚ましてくれた。別れを決意した。

 数日後、私の交友範囲で皆川霜介の新しい恋の噂が広まった。

 彼が大学二年生の亜澄という子を追いかけているという話だった。

 その子は若く美しく、天真爛漫で、あっという間に皆川霜介の猛攻に陥落したらしい。

 かつての私のように。

 彼の友人たちは二人をくっつけようと、わざわざパーティーを開いた。

 そのパーティーには、私も招待された。

 私が部屋に入ると、その子は霜介の隣に座っていて、霜介は自らの手で彼女のために海老の殻を剥いていた。

 彼は私のために、そんなことをしてくれたことなど一度もなかった。汚れるし、御曹司である彼の品位を損なうとでも思っていたのだろう。

「ちょうどよかった」

 皆川霜介は顔も上げずに言った。

「月咏夕、ここ数年、俺たちはくっついたり離れたりして、もう感情も冷めてるだろ」

 彼は殻を剥いた海老をその子の皿に入れ、それからようやく手を拭いながら、気だるげに私を見た。

「俺は本気で亜澄のことが好きなんだ。彼女を悲しませたくない。ちゃんと立場を与えてやりたい」

「お前もさっさとけじめをつけろよ。みんなを気まずくさせないで……」

「うん、いいよ」

 私は平然と彼の言葉を遮った。

 悲しくないと言えば嘘になる。あれほど彼を愛していた。七年も。私たちの未来は、私の生活の中に組み込まれていた。今、彼がそれを引き抜こうとしているのに、痛くないわけがない。

 でも、こんな惨めな思いはしたくなかった。私の七年間を、彼らの笑い話になんてさせたくない。

「お幸せに」

 私は重ねて言った。

 皆川霜介は驚いて私を見た。私がこんなにあっさり承諾するとは思っていなかったようだ。彼は眉をひそめたが、ただこう言っただけだった。

「まあ、長いこと一緒にいたんだし、友達としてはやっていけるだろ。これから何かあったら、俺に相談してもいい」

 恋人から友達へ。彼はなんて簡単に格下げをするのだろう。

「結構です。ありがとう」

 私はきっぱりと断った。

 部屋を出る時、廊下にまで半開きのドアの隙間から河合大輔の声が聞こえてきた。

「あいつ、ちょっと怒ってるみたいだったな」

 皆川霜介の口調には、どこか侮りが含まれていた。

「あいつはああいう奴なんだよ。怒るとすぐ拗ねる。数日もすれば泣いて戻ってくるさ」

「三日も持たない。泣きながら戻ってくる」

 彼は自信満々だった。

「だよな。あいつがお前のこと狂うほど愛してて、絶対離れられないってのは誰もが知ってるし」

 私は自嘲気味に笑い、通りがかった池に指輪を投げ捨てた。

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