第5章
ヴィクターが突然、胸を押さえた。なんの前触れもなく襲ってきた激しい動悸に、視界がすっと暗く染まる。
ポケットの中でスマートフォンが狂ったように震え出した。ヴィクターは息を大きく吸い込み、こみ上げる得体の知れない恐怖を無理やり押し込みながら、通話ボタンを押す。
「ボス……屋敷で……連続爆発がありました! 主寝室の瓦礫の中から……奥様の遺体が……」
受話器の向こうの声は、激しく震えていた。
金属めいた甘い味が、ヴィクターの喉奥に込み上げる。ごぽっと大きく血を吐き出した光景は、あまりにも凄惨だった。
瞳孔がきゅっと縮み、心臓が止まりそうになる。
「そんなはずがない。俺は……俺...
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