第十一章

ハンナ

レオナルドのオフィスビルの化粧室で、私は鏡に映る自分を見つめながら、どうにか平静を取り戻そうとしていた。頬は赤く火照り、髪は乱れ、唇は激しい戯れの名残で腫れている。冷たい水を顔に打ちつけ、熱を帯びた肌を冷まし、ついさっきまでの出来事の痕跡を洗い流そうとした。

「もう、なんてこと……」私は鏡の中の自分に向かって小さくつぶやき、首筋にうっすら浮かび始めた痣に気づいた。ワンピースはあの最中にずれてしまい、思っていた以上に胸元があらわになっている。細い肩ひもを直しながら、レオナルドに強くつかまれた場所へ指先が触れるたび、私はかすかに顔をしかめた。

化粧室の扉が勢いよく開き、身なりのいい四...

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