第161章

ハンナ

私はグラスを置き、途中でバッグをつかみながら彼のあとを追ってドアへ向かった。レオナルドには、私をそうさせる力があった。ほんの一分前まで、私は疲れ切っていて、いっぱいいっぱいだったのに、次の瞬間には磁石に引かれるみたいに彼についていってしまう。抗えないのだ、彼の引力には。

プライベート用のエレベーターへ向かう廊下には、人影ひとつなかった。レオナルドが呼び出しボタンを押す。彼はすぐそばに立っていて、その身体から放たれる熱が感じられるほどだった。やわらかな電子音とともに扉が開き、彼は先に入るよう私に手で促した。

扉が閉まった途端、レオナルドの雰囲気が変わった。駐車場の階のボタンを押した...

ログインして続きを読む