チャプター 19

ハンナ

ある写真では、彼はヨーロッパのどこかの街を見下ろすバルコニーに立っていた。夕焼けの金色の光が、その鋭い目鼻立ちをやわらかく照らしている。添えられた文は、ただひと言だけだった。

「ミラノ。商談は無事成功」

私は鼻で笑った。「ええ、そりゃそうでしょうね」

別の写真では、彼は気楽な装いをしていた。仕立てのいいジーンズに、広い肩とたくましい胸元を際立たせる黒のⅤネック。フェラーリにもたれ、サングラスを鼻にかけていて、歩く色気そのものといった姿だった。コメント欄は、男女を問わず、彼に熱を上げる声であふれていた。

責める気にはなれなかった。画面越しですら、彼の存在感は人を引き寄せてやまな...

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