第二十三章

ハンナ

数週間ぶりに、胸のあたりがふっと軽くなるのを感じながら、ポップアップ会場を後にした。フルタイムの職でもなければ、キャリアと呼べる役割でもない。それでも、ずっと憧れてきた業界への「入口」に、ついに指先が触れたのだ。しかも、ポケットの中で名刺がじりじりと存在感を放っている。そこには、望むことすら恐れていた可能性が詰まっている気がした。

エマは角を曲がったところのカフェで待っていた。今日がどうだったのか、早く聞きたくてたまらないという顔だ。

「顔が明るい。輝いてるよ」向かいの席にどさりと腰を下ろした私を見て、彼女は言った。「いい一日だった?」

「最高」私は仕事の話――オファーのことと...

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