チャプター 78

 コーヒーマグを置き、私はぺたぺたと玄関へ向かった。ふと自分の格好を見下ろす。タンクトップにショートパンツ、その下には何も着けていない。いきなりの来客を迎えるには、とてもまともな格好とは言えなかった。

「ちょっと待ってください!」

 そう声をかけると、私は急いで部屋へ戻り、ローブをつかんだ。ばさっと羽織り、腰ひもをしっかり結ぶ。きちんと隠れていることを確かめてから、もう一度玄関へ向かった。

 扉を開けた瞬間、血の気が引いた。

 ヴィンセント・グレイヴズが、うちの玄関に立っていた。がっしりした体つきで、ほとんど戸口いっぱいを埋めている。白髪まじりの髪はきっちり後ろへ撫でつけられ、黒い目が...

ログインして続きを読む