チャプター 86

ハンナ

レオナルドが引き戸を滑らせて開けると、ひんやりした夜気が一気に流れ込み、露わになった肌一面に鳥肌が立った。バルコニーは驚くほど広く、ペントハウスの角をぐるりと囲むように伸びている。透明なガラスの手すりの向こうには、きらめく街の夜景が遮るものなく広がっていた。

「きれいだろう?」レオナルドは外へ出ながら言った。「こっちへ来い」

私は敷居のところでためらった。胸はまだブラジャーのカップからこぼれたままで、網のように透けるドレスを着た自分が、ひどく無防備に思えたのだ。

「待たせるな」彼は低く、危うい声でそう言った。

私はバルコニーへ足を踏み出した。ヒール越しに伝わる冷たいコンクリー...

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