チャプター 90

ハンナ

こんな店で到底取れそうもない予約を押さえるには、いったいどんな貸し借りが必要なのか聞いてみたかった。けれど、彼の表情に浮かんだ何かを見て、私は思いとどまった。レオナルドの世界には、きっと深く踏み込みすぎないほうがいい領域があるのだろう。

「すごいわ、感心した」私はそう言って、ワンピースの裾をそっと整えた。「こんなに高級なお店、来たことない」

「そのうち慣れる。これはまだ始まりにすぎない」

私がドアハンドルに手を伸ばしかけたとき、レオナルドの手がすっと伸びてきて、私の手首をつかんだ。「待て」

私は眉を上げて彼を振り返った。「どうしたの?」

「何でもない」彼は低くつぶやき、その...

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