第112章

渡辺芽衣は彼の下心など知るはずもなく、柏木航平がただひたすら自分のことを思って言ってくれているのだと受け取り、ふわりと甘い笑みを向けた。

そして、探るように尋ねる。

「航平兄さん、どうしてお姉ちゃんのこと、素行が悪いなんて言うの?」

柏木航平は顔を冷やしたまま答えた。

「さっき病院にいたあの男、あれが瑚夏とまともに付き合ってるように見えたか?」

「違うの?」渡辺芽衣は、無垢で世間知らずな顔を作る。

「気づかなかったのか。あの男、少なく見積もっても30は超えてる。あれで独身だと思うのか?」

言いたいことは、それだけで十分だった。

「じゃあ、お姉ちゃん……不倫相手ってこと? そん...

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