第114章

瑚夏が声のしたほうへ目をやると、デザインアシスタントの席にいる女の子だった。

隣の同僚が、瑚夏の視線に気づいて慌てて彼女の肘をつつく。

「すみません、渡辺社長……つい、抑えきれなくて」

女の子は立ち上がり、首をすくめるように肩を縮めた。

瑚夏は特に表情を変えず、柔らかい声で言う。

「そこまでじゃないわ。大事な話の邪魔だけしないで」

女の子は赦免でも下りたみたいに何度も頷いた。

「渡辺社長、安心してください。仕事には絶対に支障を出しません」

瑚夏はそれ以上は言わず、踵を返してその場を離れた。

スマホが、ぴこん、ぴこん、と続けざまに鳴る。

画面を開くと、四宮薫からだった。しか...

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