第119章

 倉持光里は、四宮薫の意地っ張りな性格をよく知っている。だからこそ、急かさず、根気よく言い聞かせた。

「椎名家の奥様は、結城グループを率いる結城朔夜さんの叔母さんなんだ。俺みたいな立場じゃ到底逆らえないし、の兄貴の上司だって、この二家には頭が上がらない」

「向こうは個室を替えろって言ってきたうえに、わざわざ母親の結城紗耶さんの名前まで出してきた。俺が断ったら、椎名家にも結城家にも顔を潰すことになるだろ。薫、ここは兄貴のためだと思って、頼むよ」

「無理」

四宮薫はぴしゃりと言い切り、そのまま瑚夏の腕まで引いて隣に座らせた。

瑚夏も、すとんと腰を下ろす。

どの個室を使うかなんて、彼女...

ログインして続きを読む