第21章

「……渡辺さん?」

黒田知也が車を二台ぶん隔てたところから、瑚夏に声をかけてきた。

瑚夏は振り返り――

一目で結城朔夜を見つけた。

背が高く、すっと伸びた姿勢。近寄りがたいほどの冷たさと、育ちの良さが滲む。無視しようとしても、視界から外せない類の男だ。

瑚夏は思わず、形のいい眉をきゅっと寄せた。

朝イチでいちばん会いたくない人に遭遇するとか。今日は何の日。

嫌な予感しかしない。

何が腐れ縁だ。

「知り合い?」

四宮薫が、斜面を上ってくる数人に視線を向ける。目は結城朔夜に釘づけで、にやにやした声を出した。

薫がホストでも見つけたみたいに目を離さないので、瑚夏はあきれたよう...

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