第28章

渡辺家の三人は車に戻った。

「ママ……私のこと、嫌いになった?」

渡辺芽衣は小林美子を見上げた。涙が落ちそうで落ちない。叱られるのを怖がる、悪いことをした子どもみたいな顔だ。

そんな顔をされたら、責める気持ちなんて欠片も残らない。

小林美子は芽衣の手を握った。

「芽衣、ママがあなたを嫌うわけないでしょう。わかってるの。あの貧しい土地が、あなたをそうしてしまったのよ」

それを聞いた芽衣の目に、計算の光が一瞬だけ走る。

次の瞬間、涙がぽろりと頬を伝った。

「ママ……あなたは知らないの。私、小さい頃……養父母がしょっちゅう喧嘩してて。養母なんて、汚い言葉を平気で吐いて、私の前でも隠...

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