第53章

少女の背中が彼の胸にぴたりと貼りつく。布越しの体温が、さっきよりもくっきりと肌へ伝わってきた。

――腰、細い。柔らかい。

清らかな香りが鼻先をくすぐる。妙に、心地いい。

「結城社長、申し訳ありません。前が急ブレーキで……」三上が慌てて弁明した。

前が急ブレーキを踏んだ。だからこちらも踏むしかない。

瑚夏はまだ、びくびくしていた。

前に結城悠馬にハンドルを奪われたせいか、その後遺症なのかもしれない。急ブレーキへの反応が、以前よりずっと大きい。

さっきの一瞬、心臓がまたどこかへ飛んでいった気がした。

「ぶつけてないか?」

瑚夏が固まったまま動かないのを見て、結城朔夜が低く問いか...

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