第54章

瑠園に着いても、瑚夏はまだ目を覚まさなかった。

「朔夜。従妹は疲れたんだろ。起こさなくていい。お前、もう少し一緒に寝てやれ。俺は中に入って、姑母さんに一言言ってくる」

結城悠馬は振り返り、瑚夏を起こさないよう、わざと声を潜めた。

――機会を探していた彼にとって、瑚夏が結城朔夜にもたれかかって眠っている状況は、まさに出来合いの好機だった。

結城朔夜も、気持ちよさそうに眠る少女を起こすのが忍びなく、黙って頷いた。

結城悠馬は前を向き直り、三上さんに目配せする。

三上さんは目だけをくるりと回して、ルームミラー越しに後部座席を盗み見た。

眩しいほどに整った顔の少女が、誰も敵わないほど格...

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