第64章
結城悠馬は自分の感情に沈みきっていて、結城朔夜が何を言ったのかもろくに聞こえていない。ただ、声を上げて泣きじゃくるばかりだった。
昨日、瑚夏の前で泣いたときより、ずっと大きな泣き声で。
扉の外で控えていた吉本執事が物音に気づき、慌てて入ってくる。
結城朔夜が目を覚ましているのを見て、これまで若様がどれほど苦しい思いをしてきたかが胸に迫った。ようやく、ようやく――運が開けたのだ。
吉本執事は嬉し涙をこぼし、目尻を赤くしたまま言った。
興奮のせいで、声が詰まる。
結城朔夜は漆黒の瞳のまま、何を考えているのか読めない。
吉本執事はそっと様子をうかがい、胸の内で首をかしげた。どうして、...
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