第8章

翌朝。

瑚夏が目を開くと、そこは見知らぬ部屋だった。胸の奥に、まだ現実味が追いつかない。

――本当に、椎名家へ戻ってきたんだ。

いまの自分は、椎名瑚夏。

時計を見る。ちょうど7時半。

夏休みだ。ゆっくり寝ていてもいいはずなのに、瑚夏は昔からこの時間にきっちり目が覚める。寝坊という習慣が、そもそもない。

身支度を整えて、ウォークインクローゼットへ。

昨日ここへ入ったときは、からっぽだった。

けれど午後から何人も出入りして、今はハンガーがびっしり埋まっている。有名メゾンから小さなブランドまで、系統もばらばら。とても全部なんて着切れない。

瑚夏はワイドパンツが好きだ。楽だから。

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