第2章

蓮司視点

見つけた。

二年間探し続けて、彼女はそこにいた。簡素な青いサンドレスを身につけ、花市場に立っていた。記憶にあるよりも痩せていて、以前はなかった目の下の隈が影を落としている。だが、彼女はやはり、俺が今まで見た中で最も美しい女性だった。

「ハンサムなおじさん! あなただ!」

少女の声に、俺ははっと我に返った。昨日の海岸にいた子、蘭だ。

彼女は美咲の手を握っていた。

俺はゆっくりと立ち上がった。手が震えるのを抑えようと努める。今度こそ失敗するわけにはいかない。二度と彼女を逃がすわけにはいかないのだ。

「こんにちは」なんとか声を絞り出す。声が上ずらないように気をつけながら。「蘭ちゃん、だね?」

「うん! それでね、こっちは私の母さん!」彼女は屈託のない、無邪気な笑顔で美咲の手を引いた。「母さん、この人が風船を取ってくれた優しい人だよ!」

美咲の顔から、さっと血の気が引いた。蘭の肩を掴む彼女の手に力がこもる。守ろうとするような、ほとんどパニックに近い仕草だった。

なぜ、そんなに怯えた顔をするんだ?

美咲には娘がいた。彼女は前へ進み、他の誰かを見つけ、子供を産んだ。その間、俺はずっと、あのくそペントハウスで、思い出に苛まれながら立ち往生していたというのに。

「美咲」と、静かに呟いた。三年間、暗闇の中で独り、彼女の名前を幾千回となく囁いてきた。だが今、目の前に立つ彼女に向かってその名を口にするのは、長すぎた潜水から、ようやく水面に顔を出したような感覚だった。

彼女はごくりと唾を飲み込んだ。「蓮司」かろうじて聞き取れるほどの、か細い声だった。「ここで、何をしているの?」

俺が、ここで何をしているのか?


六年前、桜区、白波亭にて

俺は投資家たちとワインを片手に、いつもの企業向けの建前話を交わしながら、取引をまとめようとしていた。その時、前菜のトレーを運んで彼女が部屋に入ってきたんだ。

栗色の髪、琥珀色の瞳。そして、どこか無理をしているような、優しい微笑み。

一目見て、伊織を思い出した。同じ髪色、同じ繊細な顔立ち。だが、彼女には何か違うものがあった。もっと生々しくて、本物だと感じさせる何かが。伊織は常に手の届かない存在だった。この娘は、まるで世間の荒波に揉まれながらも、それでも笑い続けようと必死にもがいているように見えた。

目が離せなかった。

食事が終わった後、俺は従業員用の出入り口で待ち、彼女が出てくるのを見ていた。履き古したジーンズに薄いジャケットを羽織り、震える指でチップを数えている。

「すみません」

彼女はびくりと肩を震わせ、もう少しで現金を落とすところだった。「あ! お客様、何か御用でしょうか?」

「君の名前を」

俺は昔から、世間話や欲しいものを遠回しに探るのが得意じゃない。

「美咲です。桜原美咲、と申します」彼女は今や不安そうな顔をしていた。「何か、問題でも?」

「君に提案がある」

俺は単刀直入に本題を切り出した。家に帰った時に誰かにいてほしいこと、あの冷たいマンションを少しでも空虚でないように感じさせてくれる誰かが必要なこと。その見返りとして、彼女が抱えている借金はすべて清算し、毎月の手当を渡し、彼女自身の店を持つための資金も提供すると。

彼女の顔には驚きと混乱が交互に浮かび、やがて理解の色に変わった。

「つまり、囲われるということですね」彼女は静かに言った。「私のことを、愛人にしてほしい、と」

「君がそう表現したいのなら、それでも構わない」俺はあくまでビジネスライクな口調を保った。「肉体的な関係を強要するつもりはない。だが、夜、家に帰った時に誰かにそこにいてほしい。誰か……」

俺の孤独を和らげてくれる誰かが。あのアパートを耐えられるものにしてくれる誰かが。

彼女は唇を噛み、手の中の紙幣を見つめた。頭の中で計算し、選択肢を天秤にかけているのが見て取れた。彼女が陥っている穴は、よほど深いものに違いなかった。

三秒の沈黙の後、彼女は答えた。

「わかりました」と、彼女は囁いた。「お受けします」

満足感を覚えるべきだった。だが代わりに、俺の腹の底では、何か貴重なものを食い物にしたかのような、吐き気を催すようなねじれを感じていた。

それからの三年間は、天国と地獄が一つになったような日々だった。

美咲はペントハウスに引っ越してきて、俺が仕事で遅くなるときもリビングの明かりをつけたままにしてくれるようになった。彼女は夕食を作り、ソファで本を読みながら俺を待っていた。俺がドアを開けて入ると、彼女は顔を上げ、時が経つにつれて本物になっていく柔らかな微笑みを向けてくれた。

約束通り、彼女に花屋を買い与えた。『美咲のガーデン』。彼女は頬に土をつけ、チューリップを耳に挿して家に帰り、気難しい客のことや、どのフラワーアレンジメントが一番売れたかなどを話して聞かせてくれた。

俺は彼女のすべてを記憶した。毎週金曜の朝にはフォーム多めのキャラメルマキアートを飲むこと。緊張すると左耳に髪をかける癖。花を生けながらハミングすること。寝る前にミステリーを読み、いつも途中で結末を見抜いてしまうこと。

あの冬、彼女がインフルエンザにかかった時、俺は夜中の二時に彼女を救急病院に車で連れて行き、診察が終わって抗生物質を処方されて家に帰るまで、片時もそばを離れなかった。

だが、愛しているとは、一度も伝えなかった。

行動で示せば十分だと思っていた。コーヒーを淹れること、病院に付き添うこと、彼女の店のバスルームで水漏れし続ける蛇口を直すこと。そういったことで、俺が口にできない想いを彼女は理解してくれるだろうと。

俺は、とんでもなく間違っていた。

そして三年前、俺がすべてを失った夜。

家に帰った瞬間、何かがおかしいとすぐにわかった。あのマンションは、以前、俺が一人で住んでいた頃でさえ感じたことのないような虚無感に満ちていた。

彼女のクローゼットは空っぽだった。バスルームのカウンターからは彼女のローションや化粧品がすべて消え失せていた。ベッド脇にあったヘアゴム、ブックマークが半分まで進んだミステリー小説、玄関に置かれていた彼女のスリッパまで、彼女のかけらが一つ残らず消えていたのだ。

残されていたのは、キッチンカウンターの上の置き手紙だけだった。

『この三年間、ありがとうございました。私はもっと良い人生を見つけました。探さないでください。さようなら』

意味が分からなくなるまで、その言葉を何度も何度も読み返した。それから、彼女が何か残していかなかったか、どこへ行ったのかの手がかりはないかと、すべての部屋をめちゃくちゃに探し回った。

何もない。彼女は徹底的に、自身の存在を消し去っていた。

最初の三ヶ月間、俺はこれでいいんだと自分に言い聞かせていた。彼女はもっと良い何かを、俺よりも彼女にふさわしい誰かを見つけたのだ、と。彼女のためだ。俺は仕事に没頭し、深夜までオフィスに残り、あの空っぽの場所へ帰るのを避けた。

だが、街のすべてが彼女を思い出させた。毎週土曜日に行った五番街のコーヒーショップ。俺がもっとリラックスする必要があると言って、彼女がアヒルに餌をやるために俺を引っ張っていった公園。二ブロック先の花屋では、彼女が一時間もかけて様々な種類のバラについて教えてくれた。

彼女が去ってから一年後、俺は土砂降りの雨の中、『美咲のガーデン』の前に立っていた。今は別の誰かが所有し、看板は塗り替えられ、ウィンドウには彼女が愛したチューリップの代わりにバラが飾られていた。

その時ようやく、俺の分厚い頭蓋骨を突き破って、真実が染み込んできた。

俺は彼女を愛していた。何年も前から彼女に恋をしていたのに、それを口にする勇気がなかったのだ。

それからの二年間、俺は騒ぎを起こさないよう、あらゆる方法で彼女を探した。

私立探偵も雇わない、SNSでのストーキングもしない。もし噂が広まっても彼女が恥をかくようなことは一切しなかった。ただ、出張のたびに遠回りをして、彼女がいつか訪れたいと言っていた小さな海辺の町をチェックするだけだった。

ポートランド、サンタクルーズ、モントレー、その他にも半ダースほどの町々。手がかりは全くなかった。

そして先週、俺は海見町にやってきた。取るに足らないような、ビジネスチャンスと呼ぶのもおこがましい案件のためだった。普段なら部下に任せるような小さな開発プロジェクトだ。

だが俺は来た。ここもまた海辺の町で、彼女が逃げ込んだかもしれない、もう一つの場所だったからだ。

そして昨日、海岸で、俺は一人の小さな女の子に出会った。

今日、俺は花市場で美咲を見つけたのだ。


「出張だ」ようやく俺は答えた。「開発プロジェクトでな。君がここに住んでいるとは知らなかった」

美咲は蘭を自分のそばへと引き寄せた。「そう。もうわかったでしょ。さようなら、蓮司」

彼女は背を向けて歩き去ろうとした。

「待ってくれ。少しだけでいい、話せないか? それだけなんだ」

「それは、いい考えとは思えないわ」

「美咲、頼む」俺が彼女の方へ一歩踏み出すと、彼女がびくっと後ずさるのが見えた。その小さな動きは、彼女が口にするどんな言葉よりも俺の心を抉った。「君が無事かどうか知りたいだけなんだ。五分でいい」

彼女の瞳が、一瞬だけ俺の瞳と交わった。恐怖か、怒りか、悲しみか、そのどれかはわからなかったが、何かが彼女の顔をよぎった。そしてそれはすぐに消え去り、注意深く作り上げられた無表情に取って代わられた。

「私は元気よ。元気すぎるくらい。ここで良い生活を送っているわ」彼女の声は平坦なままだった。「そして、これからもそうありたいの」

「その子は」俺はバラのディスプレイに気を取られている蘭に目をやりながら言った。「お娘か?」

「ええ」

「父親はいるのか? 俺が知っておくべき誰かが」

「あなたには関係ないことよ」彼女の口調は氷のように冷たくなった。「私たち二人で、何の問題もなくやっているわ」

一体なぜ、彼女は逃げたんだ?

蘭が美咲のドレスを引っ張った。「お母さん、紫のチューリップ買ってくれる? お願い?」

娘を見下ろす美咲の表情が、途端に和らいだ。「いいわよ、お会計しに行きましょうね」

彼女は去り始めた。俺の本能のすべてが、彼女を追いかけろ、答えを問い詰めろ、二度と消えさせるなと叫んでいた。

だが、後悔と捜索に費やした三年間で、俺は一つ学んだことがある。逃げようと決意した人間を、無理に引き留めることはできないのだ。

俺は彼女たちがいなくなってからも、長い間そこに立ち尽くしていた。

今度こそ、彼女を逃がしはしない。どれだけ時間がかかろうと、何をしなければならなくなろうと、構わない。俺はあの空っぽのアパートで、半ば死んだように三年間を生きてきた。もう、うんざりなんだ。

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