第9章

美咲視点

家に着いた。蘭は疲れ果てて、帰りの車の中で蓮司の腕に抱かれたまま眠ってしまった。彼は蘭を家の中に運び込むと、ベッドに寝かせた。その優しい手つきで毛布をあごまで引き上げてあげる様子に、私の胸はきゅっと痛んだ。

彼が蘭の部屋から出てきた後、私たちはしばらく廊下にただ立っていた。二人とも、乾いた泥にまみれたままだった。彼のシャツは破れている。頬には切り傷があって、血は止まっていたけれど、ひどい見た目だった。

「手当てした方がいいわ」と私は言った。

「大丈夫だ」彼は無意識に傷に触れた。「美咲、大丈夫か? 本当に?」

『ううん。すごく怖い。だって、今から話すことで、全部が変わっ...

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