第143章 私を探しに来るべきではなかった

近藤七海は彼女の姿を認めると、これ以上ないほど顔を輝かせた。

昨日からというもの、彼はまさに針の筵(むしろ)に座らされているような気分だったのだ。

水瀬遥人は相変わらず、何を考えているのか読めない無表情を貫いている。

だが近藤には分かる。この三十六階全体が異様な空気に包まれ、背筋が凍るほど冷え切っていることが。

そこに救世主――神崎彩が現れたのだ。

これでようやく助かる。

彼は満面の笑みを浮かべ、神崎彩に言った。

「水瀬社長ならオフィスにいるよ。入ってきな」

神崎彩はその笑顔を見て、胡乱(うろん)げな眼差しを向けた。「その笑い方、なんだか狡猾ですね。何か企んでます?」

「な...

ログインして続きを読む