第145章 傷は小さいが、水瀬社長は見た

相変わらずの冷ややかな眼差し。そこには何らの感情も宿っていない。

彼はほんの一瞥をくれただけで、すぐに視線を外した。

そして、その視線を天音雫の顔に戻す。

「天音社長の部下を思う心掛けは、称賛に値する。『セレスト』の横領の一件も、実に見事な手腕だった。総監の座に戻るがいい」

天音雫は呆気にとられた。

だが直後、彼女の顔に喜色が浮かんだ。

本来は神崎彩に恥をかかせるつもりだったが、まさか水瀬遥人が公衆の面前で自分を褒めてくれるとは。

これは嬉しい誤算だった。

彼女の笑顔はいっそう甘美なものになり、猫なで声で答えた。「ありがとうございます、水瀬社長」

水瀬遥人は淡々と頷き、再び...

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