第181章 嫉妬する水瀬社長

神崎彩は完全に言葉を失っていた。

まさか「水瀬社長、どうぞ私を虐めてください。被虐趣味があるんです」などと言えるはずもない。

それではまるで変態ではないか。

しかも昨日の朝彼にキスをして、今日はその胸に飛び込んでしまったのだ。彼に何か下心があると思われても仕方がない。

多言は無用だ。

彼女は窓の外へ顔を背け、口を閉ざすことにした。

水瀬遥人もそれ以上、彼女をからかうことはしなかった。

車はいつの間にか山の奥深くへと入っていく。

絶景を取り込むために切り拓かれた山道、自然の美しさと調和するように配置された建築物。それらが織りなす風景は、天然の傑作とも言える美しさだった。

道の...

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