第184章 理不尽すぎる

神崎彩はもう、彼の言葉など耳に入らなかった。

辺りは漆黒の闇に包まれている。彼女の声は恐怖で震えていた。

「どうしてこんな所まで……外に出られないんですか?」

「出られるさ。だが、もう入ってしまった。進むか、戻るか。君が決めてくれ」

彼女は彼の腕にぎゅっとしがみつき、前を見やり、後ろを振り返ったが、どちらも深い闇が広がっているだけだった。

震えが止まらない声で、彼女は絞り出した。

「す、進みましょう」

後退するのは、彼女の流儀ではない。

水瀬遥人は頷き、歩き出そうとしたが、彼女が再び彼の腰に抱きつき、動きを封じた。

「置いていかないで」

そう言いながら、腰に回した腕にさら...

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