第186章 ショーが始まる

周囲は水を打ったように静まり返り、全員の視線が水瀬遥人の挙動に注がれていた。彼の評価を待っているのだ。

いわゆる名士と呼ばれる連中の中には、バイオリンを取り出して演奏を始める音楽家もいれば、その場で絵を描こうと身構える画家までいた。

水瀬遥人はワイングラスを置くと、短く一言だけ発した。

「まあまあ、だな」

ぞんざいな口調に、冷淡な表情。

一同は絶句した。

「…………」

この水瀬社長は、場を白けさせるために来たのだろうか? 数百万もするヴィンテージワインを飲んでおいて、感想が「まあまあ」の一言だけとは。

栢野実はいっそのこと殴りかかりたい衝動に駆られた。自分が水瀬敬二と共に商業...

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