第464章 水瀬社長、お顔はどちらへ

橘薫が、ある名前を口にした。

――と同時に、玄関のチャイムが鳴った。

神崎彩には聞き取れなかったけれど、頭に浮かんだのはひとりだけだった。水瀬遥人だ。

こんな時間にインターホンを押すのなんて、彼以外にいない。

真夜中に押しかけてきて、また“特別サービス”でも要求するつもり?

正直、彩はくたくただ。休みたい。ちゃんと休まないと、明日の仕事に響く。

……なのに、どれだけ心の中で拒んでも、体の奥の火は逆に勢いを増していく。

会話の続きも忘れて、彩は短く言った。

「じゃあ、いったんここまで。続きは明日ね」

通話を切り、湯船から上がってバスローブを羽織る。濡れたままの髪をそのままに、...

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