第23章 江口式、お前はどういうつもりだ

保坂家と江口家の婚約披露宴には、親戚や友人だけでなく、取引先など仕事絡みの関係者まで顔を揃えていた。

タイム・テンプルの宴会場入口には、江口信年と吉田詩乃の夫婦が、保坂夫妻と向かい合う形で左右に分かれ、来客を自ら出迎えている。

後藤由紀が招待状とご祝儀を手に先を歩き、江口式がその隣に並んだ。

式の予想通り、保坂夫妻は後藤由紀にだけ愛想よく声をかけ、式のことはまるで視界に入っていないかのように振る舞った。

(……そう来るよね)

式は察して、反対側の江口信年の前へ回る。信年が期待に満ちた目で、彼女の背後――誰かを探すように視線を伸ばした瞬間、式の口元が薄く歪んだ。

「見ても無駄。あの...

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