第49章 戻って引っ越す?

冷たい風がひと吹きし、江口式の額にかかった後れ毛をくしゃりと乱した。

彼女は顔を背けた。その一瞬、林田景司の目に走った複雑な色には気づかない。

あの言葉を口にした時点で、江口式はもう林田景司と離婚する覚悟を決めていた。

離婚したあと、どうやって自分一人で祖父に隠し通すか。病状が落ち着くまで、どうやって持ちこたえるか。彼女の頭の中を占めていたのは、そのことばかりだった。

今日、林田景司がここまで付き添ったのも、夏川媛の顔を立てたからにすぎない。

そして林田景司の本音は、彼自身が口にした通りだ。離婚したあとは、もう彼女の頼みなど何ひとつ聞くつもりはない。

この先のことは、全部自分でど...

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