第54章 不倫の証拠

江口式はきちんと化粧をしていて、頬には淡い紅が差し、紅い唇が妙に艶めいていた。

林田景司は数秒、彼女を見つめる。――本当に酔っているのか。測りかねている顔だ。

「坂東社長」

景司が軽く会釈する。視線は坂東逸世と江口式の間を行き来した。

進藤林が一歩前へ出る。景司よりも露骨に焦っている。

「坂東社長。江口嬢と、ずいぶんお親しいんですか?」

専業主婦が、どうして坂東逸世と知り合いになれる。

それ以上に――江口式は、彼の腕を取っている。

景司の目の前でわざわざそんな真似をするのは、他の男に近づいて景司の気を引くためか。

思い上がりだ。

厚かましい。

「私と江口嬢は……」

―...

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