第59章 江口式、私たちは離婚する

吉田詩乃は病院から戻ってほどなく倒れ、数日間、微熱が続いた。顔色も悪く、気力も萎えている。

最初、江口馨はただの風邪だと思っていた。けれどネットで、吉田詩乃が土下座している投稿を目にした瞬間、胸の奥がざわついた。

周防富安は言ったのだ。吉田詩乃が跪いたのは馨の幸せのためだ、と。だから江口式に突っかかるな、刺激すれば江口式が本気で保坂臣を奪いに来るかもしれない、と。

だが――家の中で、吉田詩乃が手首を切りかけた。あの光景を見たとき、江口馨はもう堪えられなかった。

江口式を探しても連絡がつかない。だからわざわざ保坂臣に江口式を呼び出させ、自分は後からこっそりついてきた。

あの日、刃物を...

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