第201章

竹内結菜は車に乗せられてからようやく違和感に気づいた。けれど、もう遅い。見張りの男たちは大柄で、力づくでどうにかできる相手じゃない。結菜は大人しく従うふりをしながら、逃げ道だけを探した。

――だが、目的地に着くまで、隙は一度もなかった。

真夜中でも分かる。ここは、以前何度も来た場所だ。

松井誠美名義の別荘のひとつ。郊外の山の中腹にあり、周りは林に囲まれている。静かで、人目にもつきにくく、外からは建物の輪郭すら見えないような立地だ。

誠美は時折ここに数日滞在し、「静養よ」と言っていた。

結菜も来たことがある。届け物をしたり、午後のティータイムに付き合ったり。

その頃は、すべてが良く見...

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