第30章

雲雀京介は腕の中で従順に身を預けてくる香椎早希を見下ろし、胸の奥に残っていた最後の警戒まで、すうっとほどけていくのを感じた。

罪悪感があるせいで、彼は彼女の頼みを断れない。

「……いい」

低く、けれど甘い声。

「どのポジションがいい?」

香椎早希は彼の胸元から顔を上げた。

「前は宣伝寄りの業務のほうが慣れているんです。それに、ミナスと福田栄一さんの提携も、ちょうど話がまとまったばかりで……その案件の窓口を本社側に移してもいいですか? そうすれば、あなたの負担も少し減らせると思うから」

期待と遠慮が混ざった言い方が、かえって京介の心を柔らかくする。

早希の実力は知っている。

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