第45章

書斎の空気は、熱を孕んでどろりと重かった。

雲雀京介が理性の箍を外しかけた、その瞬間――ふっと動きが止まる。

手を離し、瞳の奥に燃えていた欲が、潮が引くみたいにすっと薄れた。

「……お前、まだ妊娠中だろ」

竹内結菜は荒い息のまま、悔しそうに腕を伸ばし、もう一度彼の首に絡みつこうとする。

「関係ない……京介。私は、あんたが欲しいの……」

「ふざけるな。身体が一番だ」

雲雀京介は竹内結菜を自分の上から押しのけ、上体を起こすと、疲れたように眉間を揉んだ。

「休め。ちゃんと寝ろ」

今の頭を埋め尽くしているのは、入札で負けた件だけだった。ほかのことに意識を割く余裕がない。

しかも相...

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