第46章

誰も信じないって?

――じゃあ、竹内結菜は?

彼のシャツに痕を残した女。彼を理性ごと壊して、たやすく制御不能にした女は?

香椎早希は従順に雲雀京介へ寄り添う。けれど、その瞳の底には一片の温度もなかった。

彼女が欲しいのは、この状態だ。

彼を孤立させ、味方を失わせ、最後には自分だけに縋らせる。

それから――。

彼が手にしているものを、ひとつずつ、確実に壊していく。

そのとき、執務室の内線が不意に鳴った。

雲雀京介は眉をひそめ、香椎早希から腕をほどいて受話器を取る。

「雲雀社長」

秘書の声が、わずかに切羽詰まっている。

「1階で揉めております。若奥様のご両親だと名乗る方が...

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