第66章

「この方は……?」

事情を知らない友人が、入口に立つ香椎早希の凛とした佇まいに目を留め、興味本位で問いかけた。

その一言で、視線が一斉に雲雀京介へ集まる。誰もが、彼の口から出る答えを待っていた。

竹内結菜の顔色がさっと失せた。彼女は雲雀京介の腕にしがみつき、指先が白くなるほど力を込める。――言わないで。お願い。そんな無言の懇願だった。

雲雀京介は腕に食い込む力を感じながら、四方から突き刺さる視線も受け止める。

息を深く吸い込み、胸の内で荒れ狂う波を無理やり沈めた。顔にはいつもの、穏やかで落ち着いた仮面を貼り付ける。

彼は竹内結菜の手を外し、一歩前へ出た。まっすぐ香椎早希を見据え、...

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