第6章
世間の噂が広まる速度は、ウイルスの感染よりも早い。
呼吸器内科の待合室に座っている間に、弘光が自殺未遂を図ったというニュースはすでに各メディアのトップを飾っていた。
コメント欄は、まるで私に対するヘイトの狂宴と化していた。
誰も彼もが道徳の守護者を気取り、この『冷酷な元カノ』の首を絞めようと手ぐすねを引いている。
「どんだけ腹黒い女なんだよ。あの天才画家が彼女のせいで死にかけたってのに、自分は金持ちと結婚とか」
「のし上がりたいだけのマネージャーじゃん。マジで吐き気がする」
弘光が長年重ねてきた精神的な浮気も、美乃里が真夜中に彼へ裸の写真を送りつけていたことも、誰も触れ...
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